人生100年時代と言われる今、社会的役割(お金を得る仕事以外も指します)を果たしていく期間というのは長くなっています。
一方でAIの登場などもありますが、こうした対人的な業務・感情を扱う仕事は、パターン化することができません。
例えばカウンセリングの場合は、はずれ値を扱います。「この人は今まで会った人とは全く別の人だ」という見方をします。
カウンセラーとしては、「この人はあの人と似ているからこうしたら良い」と考える人は失格です。「目の前のこの人は、今まで会った誰とも違う人だから」(=データ外の人と思うこと)と考えることは、AIが非常に苦手とすることです。AIの台頭で今後無くなる仕事が出て来ると言われており、ジョブ型・専門性を求められることも増えてきています。
今後は「多様性が歓迎される社会」ということで、従来のトップダウンの考え方では難しく、「その考え方もOK」「その考え方もOK」という中で合意形成を諮るということはとても難しく感じています。
何かを決定するときにはその結果よりもプロセスの方が重要であり、十分に意見を言ったあとに決まった意見であれば、たとえ自分とは異なる決定でも「皆で決めたことだから、やろう」という気持ちになります。
これは非常に難しいことですが、多様性が歓迎される社会では重要な観点です。コロナウイルスに限らず、戦争もそうですが、予期せず起こることは自分でコントロールすることができません。このあたりを対処していくときに必要な「
ネガティブ・ケイパビリティ」について、最後はお話ししたいと思います。
また、SDGsなど様々な社会的課題がある中で、実はSDGsの中には矛盾があります。
食料問題と資源の問題についてですが、全ての人に食料を渡そうとすると、資源やエネルギーを使う必要があります。そこには環境破壊という問題もあるかもしれません。SDGsは矛盾をはらんだ状態で達成していかないといけない。
IDGsとは、SDGsを実現していくために必要な個人の考え方やあり方を指します。こういった環境変化というのは、私たち個人・家族・地域社会・国、それぞれが関連しあって起きています。この考え方をシステム論と呼びます。皆さんの場合も、自分自身が学びたいと思って学ぶということもあるでしょうが、これから先、その学んだことをどう活かそうとしていくかには、周りの人が、社会がどういうことを期待しているか、周りからの要請を意識して学んでいくということもあるかと思います。