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【厚生労働省セミナー】
教育事業者へのナレッジ

講演録【町田宏子&資格取得者】女性の学びと学びを活かしたキャリア形成(1)

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女性の学びと学びを活かしたキャリア形成
【第一部】講演会


<講師>
株式会社町田ひろ子アカデミー 代表取締役(JAD会長)
町田宏子

<学習体験発表者>
・館農香菜 様
(インテリアコーディネーター/町田ひろ子アカデミー修了生)
・よした百合香 様
(パーソナルカラリスト/カラースペース・ワムI.C.I修了生)
・寺島梓 様
(日本語教師/アークアカデミー修了生)

(2022年11月掲載)


 

2022年11月5日(土)、東京都主催の「東京ウィメンズプラザフォーラム」にて、セミナー「女性の学びと学びを活かしたキャリア形成」を開催しました。 第一部は町田ひろ子アカデミー代表取締役(JAD会長) 町田宏子様による講演会、第二部は学びを通じてキャリアを形成された女性の皆様による学習体験発表を行いました。

コロナ禍の社会変化。”女性のキャリアが生きていく”時代へ

皆様こんにちは。私が、今ご紹介いただきました町田宏子です。
今お聴きいただいたように、このJADという連合会には多くの民間教育事業者が参加されています。皆様がよく知っているところでは福祉関連のニチイ学館さん、流行語大賞を行っているユーキャンさん、他にもヒューマンアカデミーさんなど大手企業の皆様がいらっしゃる中、私が会長を務めております。東京ウィメンズプラザの目的と同じように、JADも女性活躍を進めていこうということで、このような立場を担っております。
私は、JADの活動を通して、もっともっと女性の活躍を広めていきたいと思っております。 本日はJAD会員企業の講座を修了し、今立派に活動されている方々に実体験を聴かせていただきますが、その前に私自身のお話も少しさせていただこうと思います。

本日のセミナーはこのようなタイトルにしてみました。 「女性の学びと学びを活かしたキャリア形成」これが大きなテーマとなっています。その中で、「コロナ禍で変わった日本の社会」にも注目してみます。皆様は、コロナで変わったと思いませんか?私は本日、マスクなしでお話ができるんだろうと思っていたのですが、マスクをしてお話くださいということで戸惑っております。コロナがこんなにも私たちの世の中を変えている訳です。その中で日本社会はまさに変わってきています。これからどのように活動していけば良いか、皆様のヒントになればと思いまして、お話をさせていただこうと思います。

「社会が求める女性の仕事」をピックアップしてお話したいと思います。本日の一番のキーワードは「女性のキャリアが生きる時代」ということです。皆様はコロナ禍で非常に閉塞感があり、「生きづらくなった」「やりにくくなった」などいろいろと思われているのではないでしょうか。実はこれが、世の中が変革していく大きなうねりが起きる予兆となっているのです。私自身、女性のキャリアが生きていく時代に入ったなという手ごたえを感じています。今日これをお聴きになった皆様は、これからは女性が活躍できる時代なんだと思っていただけると、私の話は成功したかなと思います。

本日は「資格」についてもお話したいと思います。JADが一番応援しているのが「社会人の資格取得」です。コロナ禍においては色々なビジネスチャンスがありますが、皆さんの考え方が、少し保守化してきます。そして、人材確保において景気が良い時は「仕事が出来ればいいのではないか」という考えだった企業も、今では「資格を持っていること」に信頼を感じる時代になっています。それを私が良しとしているか否かは置いておいて、世の中がそういう見方をするということです。逆に言えば、その「資格」というものがこの長いお仕事をやっていくうえでは非常に認められていくという時代に入ってきたということです。JADはキャリアを形成したい方に対し、バラエティに富んだ資格のご紹介やキャリアカウンセラーの方と連携したキャリア形成支援等を検討しながら、本当に皆様のお役に立てることは何かを考えていきたいと考えています。 まず、「資格を取る」というこうとを頭に入れていただきたいんですね。それが、「信頼のステップ」の第一歩になります。社会がそのように見ているということを是非知っていただきたいと思います。 そこから、実務を積み重ねてもらいたいのです。実務を積み重ね技術を習得する、仕事を通してステップアップする、この「実務」というのがとても大切になります。

この日本では(海外もそうですが)、「実績」というのがすごく大事です。私が日本に帰国してから46年になりますが、たくさんの仕事をしています。しかし、私どものインテリアコーディネーターという仕事は、表に自分の名前は出ません。つまり、インテリアコーディネーターの仕事はクライアントオリエンテッドなもので、私共は作品を作っているのではありません。芸術作品ではなく、クライアントが持っている夢を実現して差し上げるプロフェッショナリティであり、仕事の割には名前が出ません。でも、何か大きな仕事をしようとした時、例えばフォーシーズンズホテル椿山荘の仕事をする時は、私が過去にどういう仕事をやってきたかという「キャリア」を全て見られます。そういう実績があって次の仕事にいけるという意味では、「実績を積み重ねていく」というのは、これからのキャリア形成においてどの仕事でも通じることだと思います。そのように実務を通すことによって大きな仕事が来るということです。私は今、自分には勿体ないほどの世界に発信するような大きな仕事に携わらせていただいています。発信地は広島です。私もウクライナ問題は非常に悲しい話で、私達は戦争が起こらないように何ができるかを考えても本当に力がありません。私達が社会にできることは少ないのです。でも、広島の施主からお仕事をいただき、その施主が今の仕事を通じて平和への想いを世界に発信したいと言ってくださっています。本当にありがたいことです。その方は、26年前からお付き合いのある施主です。ずっと仕事を積み重ねてきて信頼を得て、初めて大きな仕事に挑戦できる、「継続は力」という言葉がありますが、本当にそれを感じております。

"女性にしかできないこと"の発見が仕事に繋がる


インテリアコーディネーターという仕事は私が考えたものです。インテリアコーディネーターを仕事として確立してきた理由をお話しいたいと思います。ではここでクイズです。 私は講演する際、ご聴講いただく皆様と親しくなるためにいつでもクイズをします。 まずはクイズ1です。



「Q1.たった一つ変えてインテリアをガラっとかえるには?」


インテリアはお金が掛かると思われていますが、実はもっと大きなファクターがあります。たった1つ変えるだけでインテリアをガラっと変えることができるんですね。次の3つから選んでください。

1.床
2.壁
3.天井

この中のどれを変えればインテリアがガラっと変わるでしょうか。選んだ方が一番多かったのは「2.壁」でしたね。答えは「壁」です。
なぜ壁かというと、実はインテリアで一番大切なのは「目」です。今、バイオフィリックという新しいデザインをやっていますが、この目の視線が大事になります。私達がお部屋に入ってきた時、立っている状態で壁が最初に目に入ってきますよね。その次に見えるのが床です。次が天井です。なので、商業建築を見ていただくと、店舗の天井にはお金を掛けていないのです。配管が全部露出している状態のものが一番多いです。黒やグレーに塗ったりしていますね。でも床が一番重要な施設といえば、病院です。私は病院や福祉施設も担当しますが、床はすごく大切です。なぜかと言うと、おじいさんやおばあさんの目線は下がっているので、最初に床が目に入ります。ウェイファインディングと言いますが、病院内のどこに何科があるかを壁に書いてもなかなか目に入りません。このように、インテリアには理由があります。

それではもう一つだけクイズです。
「Q2.部屋が暗い、何かひとつ変えて部屋をあかるくするには?」

これはよくいただく質問です。部屋を明るくするには何を変えればよいでしょうか。ここで言う「何を」はいろいろありますが、本日はパーソナルカラリストの方にもご登壇いただくので、色彩について取り上げてみましょう。私はアメリカで色彩心理学ということで、環境心理学を学んできました。この「色彩」というのは重要な部分があります。その色彩の何を変えると部屋が明るくなるか、答えは「白」です。私はよく講演を頼まれますが、白い服を着て行くとボリュームが出て大きく見えます。白は反射が強い色なので、白い部屋は広く見えません。明るくはなりますが、部屋を広くしたい時には白は間違いです。このように、1つずつの組み合わせが賢くなればインテリアも楽しくなるのではないかと思います。

次に、皆様に私の最新の仕事をお見せします。私は広島の社会福祉法人とお仕事を26年前からやらせていただいています。お仕事をいただいている理由が、スイスに住んでいたからということです。私はスイスに5年住んでおり、スイスで出産し、スイスで子育てをしていく中で、スイス人はこんなに環境が良いのに病人が多いことに気付きました。その後米国に子連れ留学をして、環境デザインを学びました。本当は仕事をしたかったのですが、その後祖父が倒れ急ぎ帰国することになりました。

その後色々な仕事をしましたが、ほとんどの場所で言われたのが「女のくせに」でした。自分がやりたいことを言ったら、「女のくせに」と言われるのです。女の何がいけないんだという感じでしたが、そこで気が付いたことがありました。「男の人と戦うのではなく、男の人が考えられないやり方を自分がする」のが大事だということです。 隙間を自分でブレイクスルーしよう、競争ではなく「女性ができる仕事」「自分の経験が生きる仕事」つまり、これがこれから仕事になっていく時代なんですね。

逆境こそ、生涯現役を目指せる仕事のスタートライン

こども園(※1)の仕事は表彰していただいたお仕事でもありますので、ご紹介させていただきます。
私は高齢者の認知症を遅らせる「神経美学」をやっています。これは、英国のロンドン大学で発表された「人は美しいものを見て、美しいと感じると脳の血管が広がって血流が良くなり、認知症を遅らせることができる」という革新的な研究論文に基づいたものです。私は2014年に日経新聞に掲載された記事に大変衝撃を受け、英国の神経美学研究者にメールを送りました。高齢者施設のインテリアコーディネートを担当しており、この神経美学の知見を是非インテリアに活かしたいというお話をしたところ、ご了解をいただき一緒に進めさせていただいている今日です。

その1つが「Love of Nature」ということで、バイオフィリックですね。今こども達は(大人も含めて)スマホばかりしています。このせいで、脳はストレスが溜まった状態になっています。こども達を育てる環境は非常に大切で、私もこどもをずっと預けていましたが、こども達にどういう環境であってほしいかは、自分の問題であり社会の問題であり、自分の仕事に繋がっているというのはありがたい話です。この場合は、「こどもと一緒に成長するグリーン緑化」ということで、スイスの大変素晴らしいパウル・クレー(※2)の作品をインテリアに取り入れました。メーカーさんと商品開発をしながら初めて作り上げたインテリアです。「パルナッソス山へ」というアート作品を色分解し、エントランスにもその色が使われています。今保育園はこども達を自然の中で育てたいという考えがあり、内装に木が使われることが多く、よく言えば健康的ですが、木だらけになってしまっています。世界のこども園というのは、豊かな感情を育てるという意味で、カラフルになっています。日本は逆行しているんですね。私は床材や建具にパウル・クレーの色を使わせていただき、デザインしました。

Love of Nature(自然愛)をテーマに、元々は私が担当した健康増進施設だったものを施主のご要望で改装し、この度「こども園」にしたという仕事でした。こどもを育てる保育園や幼稚園が社会問題になっていますが、だからこそ私はやりがいがあると感じています。ここは、働くお母さんを応援するための0歳から5歳までのこども達が過ごす「もう1つの家」だと考えて設計しています。特にこの広島は海外で活躍できるこどもを育てたいということで、ここで暮らす間に自立できることがテーマになっており、それが設計に反映されています。そしてこども園の「生長緑化」等を多く取り入れています。そして、「パルナッソス山へ」というアート作品の色を使うこととなりました。改装前はお年寄りがエクササイズをするプールであった場所は遊戯室となり、「成長緑化」を目的として本当の緑の植物をインテリアにしています。また、カフェカーテンのようなイメージのステージがあります。ステージ上には背の高いプランターがありますが、プランターの中身の半分は水が入ったタンクになっており、自然に水を吸い上げサーキュレーションするのでお手入れが非常に簡単です。

私は生涯現役を目指していますが、将来どうなるかは分かりません。でも、このような暮らしに関係しているもの、社会に役立つことが、これからコロナ禍で仕事になっていくということです。とても大変なことではありますが、皆様のチャレンジが生きる時代になってきたと思っています。ですから、冒頭でお話した資格を取得し仕事を広げていただくことは、コロナ禍だからこそ生涯現役を目指していけるようなお仕事をスタートする良いきっかけになると思います。そうした意味でも、この後登壇していただく学習体験発表者の皆様の体験を参考にしていただきたいと思います。

JADは、人々の能力開発に関わる厚生労働省 人材開発統括官部門に我々の活動をご報告しながら、社会人の学びや資格取得の環境を整備したいと思っています。私達がすすめたいのは、「学びたい」と思っている方々の応援です。それを、JADが積極的に行っていきます。「学びと学びを活かしたキャリア形成」を私達は皆様と一緒に進めて参りたいと考えております。私のお話がJADのお役に立ち、次の活動のヒントになればと思います。

ということで、ご挨拶を兼ねた私のセミナーはこれで終わりといたします。 どうもありがとうございました。


※1 認定こども園サムエル広島こどもの園ベル分園 公式サイト
※2 パウル・クレー…スイス出身の芸術家 参考サイト:MUSEY

【第二部の講演録はコチラ▶】

講演者プロフィール

株式会社 町田ひろ子アカデミー 代表取締役・現JAD会長
町田 宏子

1977年 日本で初めて「インテリアコーディネーター」のキャリアを提唱。
1978年 「町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー」を設立。

現在、全国5校のアカデミー校長として教育活動を行う一方、一級建築士事務所・株式会社町田ひろ子アカデミー の代表取締役として、インテリア・プロダクトデザイン・環境デザインと幅広いジャンルのプロジェクトを手掛けている。また、2017年よりJADの会長も務める。