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【厚生労働省セミナー】
教育事業者へのナレッジ

講演録【キャリアコンサルタント】|JAD

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資格・スキルを活かして いきいきとした人生を送ろう!

講師:
東京工科大学 デザイン学部 デザイン学科 特任講師  野条 美貴様

(2019年8月掲載)

平成31年3月2日、中野サンプラザにてセミナー「資格・スキルを活かして いきいきとした人生を送ろう!」を開催致しました。 本講演会は、一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会(以下、JAD)の平成30年度 キャリア形成支援シンポジウム内にて行われました。今回は、 キャリアコンサルタントの野条 美貴様(東京工科大学 デザイン学部 デザイン学科 特任講師) をお招きし、キャリアについての考え方について、お話を伺いました。

 

現在のキャリアに出会うまで

皆様、こんにちは。本日は、優良講座の優秀者として表彰される皆様、誠におめでとうございます。このような晴れやかな場に呼んでいただきまして、感謝いたします。今日は約1時間弱という時間ではありますが、皆様にとって何か少しでもお役に立つ内容でお話を進めさせていただきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。

まず自己紹介をさせてください。現在は、東京工科大学で就職特任講師としてキャリアデザインの授業を担当し、学生の面談を行っております。私が所属するデザイン学部は、200名おりまして、3年生には全員面談ということでカウンセリングを行っています。3月1日で企業説明会解禁になりまして、学生は不安の中、いよいよ就職活動が始まったという状況になっています。学生は、社会経験がありませんので、社会に出て働くということに対して非常に不安を持っています。そんな中、昔のように一旦会社に入ったら定年まで勤めあげる時代ではなくなってきておりますので、どのように若い人がこれからのキャリアを考えていけばいいのかというところを、1人1人の学生と向き合って面談をしているところです。

私自身は、学生支援をメインでやっておりますが、元々は企業の人事採用担当として勤務しておりました。そのような中で本日のセミナー内容としては、まずは、私の自分自身の体験をお話しさせていただきます。皆さんは、講座に通われて、資格を取得され、これから活躍しよう、あるいは既に資格を活かして大いに活躍されている方々だとお伺いしておりますので、改めてこの機会に資格を取得したきっかけや、今をどのように考えていらっしゃるのか、あるいはこれからどんな風にやっていきたいのかを一緒に考えていきたいと思います。宜しくお願いいたします。

資格取得のきっかけを振り返る

ライフラインチャートとは、人生の良い時と悪い時を振り返りながら、線を引いて表したものです。人生は谷あり山ありというように、良い時もあれば悪い時もあるということで、私自身もこの場に立つ前までは、いろんなことがありました。ちょうど26年前は、就職氷河期で大変就職活動が厳しいときでした。いろんな仕事を探して就職活動をしたのですが、なかなか決まらず、50社以上受けたと思います。やっとご縁をいただいた会社が警備会社でした。その時親や祖母は、「あなたは大学を卒業して、警備員さんになるの? 旗振りのお仕事をするの? それでいいの?」というようなことを言われ、「そういうことじゃないんだけど…。」と説明し、説得しました。
私としては、事務職というよりは、営業の仕事がしたいと考えていましたので、当時はさほど、ホームセキュリティなどといった安全にお金をかける時代ではなかったのですが、これからどんどん広がっていくのではないかと将来性を感じて入社しました。そして入社後、研修を終えたときに私が配属になったところが、人事の採用担当でした。主な業務は、リクルーターとして新規学卒者の募集活動でした。そもそも「警備会社」というイメージが良くありませんし、「キツい、しんどい、残業が多い、すぐに辞めてしまう」という印象が強い業界でした。
しかし、当時は警備ロボットの開発や、GPS機能がまだ無くて、例えば小さな子どもが塾に行ったり、認知症が始まった方々がどこにいるのかすぐ家族に分かるようなシステムを開発する技術職の理系学生を積極採用したり、増えつつある機械警備の需要に合わせて毎年多くの新規学卒者の採用に力を入れていました。

6年間、採用担当として仕事をしましたが、ご縁があって結婚をすることになります。妊娠9カ月まで仕事を続け、出産を機に退職いたしました。当時から育休の制度はありましたが、社内の職場にいる女性の先輩で、子育てをしながら仕事を続けている人はいませんでした。社内では、「もちろん、辞めるよね?」「育児に専念するよね?」というような雰囲気がありましたし、両家の親からも子育てに専念するよう言われ、私は退職して専業主婦になります。
約9年間専業主婦をしていましたが、夫も同じ会社に勤めており、全国転勤がある会社でしたので、東京から島根と夫について行き、転勤族となりました。私には息子が2人いるのですが、次男が小学校に入学した際、ちょうど島根に転勤をしたところでした。島根には親戚も友達もいません。息子達が幼稚園の間は、ママ友と交流があり、転勤先でも誰かと何か話す場があったのですが、2人が小学校に行ってしまったら、家にいてもずっと独りぼっちでした。そうすると、わけもなく涙が出てきて、そんな様子をみていた母から言われたのが、「パートにでも出てみたら?」という言葉でした。それをきっかけに働きに出ようと思い、ハローワークに行きました。それが今から11年前になります。
その当時、息子達は小学校3年生と1年生だったものですから、9時か9時半くらいから、14時か14時半くらいまでできる事務の仕事はないかとハローワークの相談員に聞いたら、「パソコンできますか?」と聞かれて、「ワープロならできるんですけど、ExcelやWordはできません。」と言うと、「そうすると事務職は難しいですね。」と言われました。その後、しょんぼり帰ろうとしたとき、相談員に、「あなたは今までどんな仕事をしていましたか?」と聞かれました。「子育てをする前は人事の仕事をしていました。」と言うと、ちょうどリーマンショックにより景気が悪く、失業者も増えてきたことから、「ハローワークで職業相談員の募集がもうすぐ出ますよ。あなたの今までの人事の経験を活かしてハローワークで働いてみるのはいかがですか?」と言われました。これがキャリアカウンセリングを始めることになったきっかけとなりました。

 当時小学校1年生の息子の参観日に、フルタイムで働き始めたところだったので、お休みをとることができないといった出来事がありました。その参観日があった夜、息子にわんわん泣かれて、「お母さんどうして来てくれないの? 僕は独りぼっちだったよ。」と言われ、そのとき、フルタイムで働くのは無理だなと実感しました。そこで見つけたのが、職業訓練校での仕事でした。ここでは週3~4回で働いておりました。そこで勤務していたときに、一緒に働くキャリアアドバイザーの先輩たちに色々話を聞いていると、「野条さん、あなたまた転勤するんでしょ? 転勤族だったら、また転職活動しないといけないよね。だったら、資格を取った方がいいんじゃない。」とアドバイスをもらいました。そこでCDAという民間資格のキャリアカウンセラーの資格を取得することになりました。理由としては、2つありました。1つ目は、転勤した時に、資格があるのとないのでは、カウンセラー職に就くための就職活動に大きな違いがありました。せっかくやりがいを感じている今の仕事をこれからも続けていきたいと思いました。2つ目は、ハローワークで職業相談員としての時給は、たしか900円から950円でした。キャリアカウンセラーの資格を持っていると、同じ仕事をしているのに、その当時で時給はおおよそ2倍だったと思います。資格を取ることで、同じ時間働いてもこんなにも時給が違うのかと感じ、資格を取るしかないと思ったのです。(笑)

では、皆さんは、学校を卒業して、資格を取るために勉強された方、あるいはその後資格を取得された方、それを活かしている方、色んな方がいらっしゃると思うのですが、皆さんの取得のきっかけを、お配りしているワークシートに書いてみてください。

キャリア形成につながる3つの観点

書いていただいたことを、お隣の方とお話をして欲しいなと思います。その際に、お隣の席の方は同じ資格取得をされた方かもしれませんし、あるいはお知り合いかもしれません。まずお名前を言っていただいて、何の資格を取ろうと思っているのか、あるいはどういう講座に行ったのか、そして、今書いていただいた資格を取得しようと思ったきっかけを皆さんでお話をしてみてください。そこで、大事なルールとしたいのは、今日皆さんが個人情報を含んだお話をしていただくので、この扉を出たら忘れてしまう、聞いた人の話は持ち出さないということです。ここを安心・安全な場だということで、お互い理解していただければと思います。ただ、言いたくないことは言わなくて良いです。自分が話してもいいなと思うことだけ、お話ししてほしいなと思います。

人それぞれに資格を取るきっかけがあったかと思います。「きっかけ」を振り返ってみて、見えてくることが様々にあります。皆さんのきっかけを振り返ってみてもらうと、自分自身の興味や関心が何なのか、というところが少し見えてくるのではないかと思います。資格を取得するまでに、皆さんが頑張ってきた経験、どんな努力をして、どんな風にやってきたのかをいうことも、きっかけを振り返ることで、見えてくると思います。それから、その経験によって、身につけた皆さんの強み、能力、スキルも見えてくると思います。また、自分自身が大切にしたいと思う価値観も、きっかけを振り返ることで見えてきます。皆さんのお手元の資料に、円が3つ書かれていますが、この3つの観点は、キャリアを形成していく上では、大事な観点だと言われています。

1つ目は能力と強み。それから、2つ目は、興味や関心。最後に、価値観、何のためにそれをやっているのか、大切にしたいことという価値観を自分の中で振り返り、見極めていくことがキャリア形成に繋がっていきます。3つの円がちょうど重なりあっているところの仕事が、ご自身にとっての天職になるかもしれません。 それを踏まえた上で資格を取って、皆さんの今の状況はどうでしょう。それから、これからどんな風にやっていきたいの? というところを考えてみてください。

取得した資格を活かすには?

皆さんには、それぞれの今とこれからがあります。取得した資格を活かせている人と、まだ活かせていない人と、色んな方がいらっしゃると思うので、今日は3つの視点から、今後資格を活かしていくためには、どんな風にしていけばいいのかをお話させていただきます。今の状況をどう捉えるかというところで、3つあります。1つ目は、資格はあるけれども、時間がなかなかなく、資格を活かせていないというような場合。今の自分の役割をしっかりと考えてください、2つ目は、資格はあるが、自分に自信がないために、活かせていない、そんな方もいらっしゃると思います。そのためには、自分自身に、自信を持つにはどうしたら良いかをお伝えしたいと思います。3番目は、資格を活かせているが、今よりも活躍の場を広げていきたいという方に、どんな風にしたら良いのか、自分の仕事観を改めて考えてみる、3つの仕事観で話していきたいと思います。

キャリアカウンセラーの仕事をしておりますと、様々な仕事の悩みを聞くのですが、今後スキルアップをしていきたいと考えている方や、定年を間近に控えた方からはこれからどうやって生きていこうかといったときに、新たに何か学んでみようかと考える方はたくさんいらっしゃいます。実際に、たくさん資格を持っているけれども、それをどう活かして良いのか分からない、というキャリアの悩み相談をよく受けます。

キャリアってそもそも何でしょう? キャリアというのは、経歴や仕事の経験をいうところを指すと思われる方が多いのですが、このキャリアコンサルタントというキャリアもそうですが、キャリアという考え方を、人生そのもの、生き方、全てをキャリアと捉え、これからお話をしていきます。「今の自分の役割を考える」ということで、キャリアの理論家であるドナルド・E・スーパーが、ライフキャリアレインボーという形で図を出しています。簡単に言うと、私たちは生きていくうえでいろんな役割を持って生きています。市民としての役割、余暇を楽しむ人の役割、家事をする人としての役割、これは例えば男性が電球を変えたり、庭いじりをしたりすることも含まれています。職業人は働く人、学生、息子・娘という役割で書かれています。皆さんは、どんな役割を何個ぐらい持っていますか? 

例えば私だったら、息子が2人いますから、親の役割があります。母がいますので娘の役割もあります。それから、仕事をしているので職業人、ボランティア活動もやっていますので、これは市民の役割にもなってくると思います。それから、余暇を楽しむということでは、美味しいご飯を食べに行ったり、温泉に行ったりと自分の好きなことをするので、そういった時間も大事ですし、学生という役割では、心理学部通信制をこの春に卒業いたしまして、4月からはキャリアデザインの大学院に通う予定です。このように、様々な役割があります。私自身のキャリアレインボーを考えたとき、10年前は働く人の役割はほぼ0で専業主婦でしたので、子育ての役割が非常に大きかったです。皆さんもおそらく、これから生きていく中で、役割はどんどん変わっていきます。改めてご自身の役割は何なのだろうか、今はどうだろうか、あるいは5年先、10年先は自分がどんな役割を担っているだろうか。このあたりを考えながら、キャリアを考えていただきたいと思っています。今は子育てが大変だから、なかなか働けない、資格の勉強も活かせないという人は、「自分ひとりで全部やろう、全部私の役割だ」と思いすぎないことが大切です。サポートしてくれる人は周りに実はたくさんいるのです。それは、身近な家族もそうですし、職場の人、あるいは社会・地域で様々な役割をサポートしてくれる人がいます。

講演録の後半はこちらから >

講演者プロフィール

東京工科大学 デザイン学部 デザイン学科 特任講師
野条 美貴 様
国家資格登録キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士、 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)、 2級FP技能士、 メンタルヘルス・マネジメント検定I種 等 

サービス業界での採用担当者として勤務後、育児のため退社。9年間の専業主婦を経て、 家族の転勤を機に、公的な就労支援機関に再就職。現在は大学の就職担当教員や 企業で働く人々へのキャリアコンサルタント業務に従事。