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【厚生労働省セミナー】
教育事業者へのナレッジ

講演録【博報堂】リーママプロジェクト

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「働く女性」の本音を引き出す企画のつくり方~博報堂『リーママプロジェクト』の事例に学ぶ~

講演者:株式会社博報堂 リーママプロジェクトリーダー、
クリエイティブ戦略企画室 マネジメントプラニングディレクター
田中和子 様
(2015年3月掲載)

平成27年1月20日(火)、中野サンプラザにて「平成27年度 第3回 能力開発カレッジ」が開催されました。働く女性の本音を引き出し、首相官邸「輝く女性応援会議」などでも提言をされております田中和子さんをお招きし、「本音」の出る企画を立案・運営するためのポイントや、「働く女性たちの声」などについてご講演いただきました。

何のために、どのような活動をしているのか

「リーママ」とは、サラリーマンママの略で、このプロジェクトは働くママの声に耳を傾け、そのママたちが考えていることを発信しています。
その活動内容と仕組みをお話したいと思います。

広告代理店が「ママプロジェクト」を立ち上げると、得てして次のようなことをします。
まずママをマーケットとして捉え、何を消費し、何が次のマーケットなのかを調査研究するためにグループインタビューをします。
そして「次のママの消費はここにあります」と発表するのです。
リーママプロジェクトにもこうした視野はありますが、中心においているのは「ママたちがどうすれば、もっとイキイキと活躍できるのだろうか」です。
この問題意識を同じ職場で働く有志ママたちと共有し、「働くママがポジティブにイキイキと活躍し、その力を社会へ還元することが、未来の日本の幸せにつながる」という考えを導き出しました。
そして、2012年4月に社内でリーママプロジェクトを立ち上げたのです。
 
そこでママの本音とモチベーションを導くために取り組んでいるのが「ランチケーション」と「はたらくママの声を届けよう」プロジェクトです。
「ランチケーション」は、ママになって働くことの価値と意義を内発的に自分から発見し、働くママ同士のつながりを生み出していこうというものです。

「はたらくママの声を届けよう」はFacebookを使ったプロジェクトです。
働くママが社会へ向けた思いをつなぎ集め、ファシリテーター(会議などで中立な立場を守り、参加者の心の動きや状況を見ながらプログラムを進行していく人)を入れながら、ママたちの生の声を聞き出し社会に発信しています。

ワークライフバランスのとらえ方

まず見ていただきたいのが、女性の労働力率の「M字カーブ(平成25年版男女共同参画白書)」ですね。


20代後半から30代の結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描くことが知られています。
すべての年齢層で現在になるまで就労率は上がっていきますが、近年、山が左から右にずれています。
この「M字カーブ」では、再就職の就労率が上がってきているのが分かるのですが、それをもって「社会の中での女性の活用や活躍が進んできている」ことにはならないように思います。

総務省がこの「M字カーブ」を「未婚の女性」「子どものいない世帯の妻」「子どもがいる世帯の妻」の3つに分けて出しているのですが、未婚の女性はM字型にはなりません。
子どもがいない世帯の妻はM字ではなく、少し沈む程度です。そして、「子どもがいる世帯の妻」はまさにM字での状態で、子育て期間はずっと谷間になっています。
つまり子どもがいる世帯の妻は、子育て期は就労状態にない、その現実に〝課題の基点〟があると考えているのです。

また総務省の図では、就労状況も記されています。子どものいる世帯の妻の「子育て期」を見ると、就労していない層が圧倒的に多く、その内訳は「就業を希望する無業者」と「就業を希望しない無業者」に分かれています。おそらく前者は「今の環境では働けない(=物理的に無理)」、後者は「働きたくない=(専業主婦指向)」ということになります。


近年、専業主婦指向が増えているといいますが、実は中身を掘り下げていくと、「長時間労働などで、やりがいが見つけづらい環境では働きたくない」という声が多く、消極的選択として専業主婦を選んでいるのだと思います。

女性の中での内面的要因

リーママプロジェクトでは、外部要因(社会保障システムや保育環境、あるいは企業の人事制度などの問題)だけではなく、「女性の中での内面的要因もあるのでは?」との疑問点からプロジェクトを始めました。
 
そこで、子どもが小さい時期の就労率が上がらない内面的な理由を探るため、リーママプロジェクトを始める準備段階で「ママたちの声をまずは聞いてみよう」と、働き続けているママと離脱していったママ20人をインタビューしました。
 
見えてきたのは、非常に罪悪感を抱えているママが多いことと、家事や育児をコントロールしているように見えるママでも「復帰した当時はどうでしたか?」と聞くと、何かしらの壁に当たっているということです。
 
その壁は妊娠が分かってから小学校に上がるまでの間に大きく3回あり、ここで職場から離脱される方と乗り越える方に分かれます。そして壁に当たったときの、ママの心の持ちようや乗り越え方のノウハウが共有されていない、ということも見えてきました。
 
ではどんな壁があるのか、3回の壁と仕事へのモチベーションについて時系列で説明します。
第一は「復帰の壁」です。まず妊娠に気づき、出社日数も徐々に減っていく中で仕事へのモチベーションが少しずつ下がっていきます。それでも出産・育休に入った段階では「自分はこの先も働くのだろうな」と思っているので、仕事へのモチベーションはそれなりに保っています。
 
しかし、いざ復帰を目の前にすると、今、社会問題にもなっていますが「保育園に入れるのか?」と切羽詰まった状況になり「働くことができるのだろうか?」と、復帰への不安が出てくる。そんな時に「あなたの5年後のキャリアを教えてください」と聞かれても「私は3カ月後復帰できているかも分かりません」という諦めの状況になります。
ここが第一の「復帰の壁」です。仕事へのモチベーションが一番低下し、仕事を諦める方が出ます。
 
第二は「イヤイヤ期」です。育児休業が1年ちょっとくらいで終わり保育園も決まった段階で、子どもが1歳未満の時にいよいよ仕事復帰をするのですが、そのタイミングが子どもの「イヤイヤ期(第一次反抗期)」なんです。
子育て経験のある方なら分かるように、1歳から3歳くらいまでの子どもは「イヤダ!保育園に行かない、ママも嫌、すべてイヤ〜」と言い出す。家に帰ったら、心から愛おしいけど、どう対処したらいいのか分からない悪魔みたいのが待っているんです。
 
その一方で、ママは今まで10時間でやっていた勤務を、時短で5時間、6時間と時間を押し込めて仕事をしています。
そうした状況の中でも、特に優秀で真面目なママほど仕事の成果を求めようとするので、朝から夜中まで張り詰めた状態が続き、脳内パニックを起こします。
「さあ働こう、やっぱ辞めたい、さあ働こう、やっぱ辞めたい」と交互にくるんですね。
 
この時に「頑張ってください」「ワークライフバランス応援しているから。サポートできることがあったら言ってね」と周囲から励まされますが、ワークライフバランスと言われても、ワークとライフのバランスをとるのに、ライフのほうが初めての経験ではバランスなど無いと思うのです。
善意の言葉でも孤独感を感じてしまうのですね。
 
また旦那さんは「何を手伝おうか」と言いますが、ママは「手伝うんじゃなくって、あなたの子どもでしょ、あなたの家庭でしょ、具体的に何をしてくれるの」って思うわけです。
さらに追い打ちをかけるように「イヤイヤ」する子どもを見て、「専業主婦のお母さんならずっと子どもを見ていられるけれど、私は保育園に入れているから子どもが〝イヤイヤ〟と言うようになってしまうのだ」と自分を責めるのです。第二子なら「今は魔の2歳、次は悪魔の3歳ね」とやり過ごせますが、新米ママには余裕がありません。
働くモチベーションがぐっと下がり、ここでも離脱する方が出ます。
 
そして第三は「小1の壁」です。PTAや放課後保育(学童)などの問題が新たに出てくるのです。
 
そうしたお話をうかがって感じたことは、初めての経験がママを襲うのであれば、先輩ママからそれに負けないノウハウを学んでいけば良いのでは、ということ。
でも、中学や高校に通うお子さんをもつママにその当時の子育てのことを聞くと、「どうだったかしら?」と一瞬考え込むんですね。
次から次へとくる問題をこなしているので、前にあったことを忘れちゃう。
でも、こちらが話を少し仕向けると、「あそうそう、そんなこともあったわね」と聞き出せることが分かりました。
 
そうしたお話を聞きながら、「お母さんの知恵って重要だ」と思い、私たちが行き着いたのが「糧(かて)ことば」でした。
仕事のモチベーションを高くもっているママには、何かの心の支えになっている自分の人生の指針となるような「糧ことば」が存在していたのが見えてきたのです。

糧ことばを導く「ランチケーション」の仕組み

ランチケーションとは、男性に「飲みニケーション」があるように、飲みには行けない働くママのために、ランチタイムでコミュニケーションする場です。企業間の交流を基本にしています。
ここでは、働くことのモチベーションを高めたり、ママ自身が働きながら子育てをする意味を見つけたり、その企業内のママ同士が助け合える環境づくりなどを育てたり、さまざまなことを得ることが出来ます。
 
その仕組みですが、まずは一時間一本勝負です。ランチを食べながらお休み時間内で終えるようにします。
初対面同士で一気に話し合い、最後に「糧ことば」を見つけるのは、ものすごい勢いが必要です。
とはいえ60分では限界もあるので、事前のアンケートに応えてもらいます。
これはランチケーションの効率を図るためだけでなく、自分の生活スタイルや仕事がどんな具合に運営されているか、少し振り返ってもらうことも目的としています。
また、ファシリテートする私たちメンバーが、ある程度まとめてプレゼンテーションさせていただくための重要な情報にもなります。
「今日の皆さんはこういう層でこういう方たちですよね」と言った上で、「さあ、ディスカッションしましょう」となるのです。

そして、話して終わりにしないように、「今日気づいた言葉、元気になった言葉を書いてください」とお願いします。
その言葉を心にとどめて持ち帰ってもらい、60分の成果を自分で見出してもらうのです。
 
ちなみに、ポジティブな方向に導き出すコツの一つは、企業間交流という点です。
交流後も、個人単位ではなく企業単位なのでつながりが形成され、ネットワークが広がりやすいですね。
「組織的にこんな活動をしていこう」などと企業人としての意見交換会になります。
お互い会社を背負って参加していくので、ネガティブな愚痴になりにくいものです。
 
また、いわゆる合コンスタイルで取り組むため、相手は初対面でも自分たちは仲間同士というのが、気持ちを楽にさせスムーズに運びます。
初対面とはいえ相手の企業名や部署などが分かるので安心して交流ができます。
しかもそれぞれの幹事さんがセッティングしてくれるので、席決めや名刺交換などもあっという間に終わる。
 
あえてデメリットをあげるなら、同僚同士なので、知られたくない悩みや仕事の不満などをオープンにできないことくらいです。
ただ、そこまでプライベートを話し合う場ではありません。交流を通じて何か体得して、ご自身で悩みをポジティブに転換してもらえればいいのだと思います。

ママたちを支える「糧ことば」にはどのようなものがあるのか

私たちの活動を通じて集まった「糧ことば」をいくつかご紹介します。
 
「わたしたちは未来を育てています」。
これは、ママたちの深いビジョンあるいは内面が出ています。仕事でも中途半端、育児でも中途半端かも知れない、それでも自分たちは誇りをもって子育てをしているし、会社にも貢献したいと思っている。
今はできないかもしれないけれども、私たちは未来を育てているんだという、誇りを感じさせることばです。
 
「育児は育自」。
ママたちへのアンケートをみると、育児に費やす時間は平日では2時間あるいは4時間となり、休日は12時間や14時間とあります。
一方、自分のための時間は平日でも休日でも1時間あるかないかです。
改めてそんな数字を見ると「私って、これでいいの?」と、焦りが出てきてしまう。
そうなると、仕事にも子どもにも絶対良くないものです。
そんなときに、「育児は育自」と言い切ってくれたママがいました。
「これは自分自身の成長のためにある」と思えると、この数年間は濃厚な時間に思えるということです。
 
「あきらめるのではなく、明らめる」。
捨てていくのではなく、いちばん大切なことを明らかにしていくという意味です。

「3人目から楽しくなる。5人目から楽になる」。

ママ同士だから出産の話も多く、1人目で苦労している人が多いのです。
当たり前ではありますが、子どもが多いママは経験値も上がり、子育てを余裕を持って見守ることができる。私も3人いるので分かります。
弊社の調査でも3人いるママのほうが幸福度も高いとデータでは出ています。

1人目は初めての経験なので悩みます。実は2人目も新しい経験なんです。
例えば赤ちゃん返りや2人同時に追いかけるというマルチタスク。
しかも、日本の働くお母さんはまじめで優秀なので2人くらいはなんとか一人で切り盛りできてしまうのです。

でも3人目になると、どうしても人手が足りなくなって、私も3人目から夫が本格的に家事・育児に参入してきました。3人を夫に預けて海外出張も行くようになりました。
それまでは「自分でやらなきゃ」という気持ちもありましたし、夫も「夜泣きはさすがに無理」と言っていました。でも3人目からは夫が自主的に抱っこしてあやしてくれている。

「3人目から楽しくなる。5人目から楽になる」 と言ったママは、0歳から2、3年間隔で5人を産んでいるので、今は一番上の子が育児をしてくれているそうです。
そのママ曰く「5人目からミルクをつくったことがない」とのこと。昔の大家族の知恵が発揮されているのですね。
 
言葉は素朴なものですが、それを解いていくと働くママの指針になり、また、現代社会のママに忘れ去られた感覚や先人の知恵が詰まっています。

本音を引き出す秘密

私たちのもう一つの活動は「はたらくママの声を届けよう!」Facebookです。
SNSの特性を生かして、とにかく声をたくさん集め、発信しようという活動です。
今や40社470人のランチケーションの交流の場をもち、フェイスブックも780人の「いいね」をいただいています。(2015年1月時点)
プラットフォームとして私たちファシリテーターが質問を投げかけます。
そうすると、ママたちの投稿が来ます。長い文章になると1,000文字くらいのもありますが、こうした長い文章を通勤中に携帯から送信している方もいらっしゃいます。
声を発したいママたちが集うサイトになっています。

私はこのFacebookページを博報堂の中で「VoiceVision」という事業会社として立ち上げました。
VoiceVisionは「生活者共創」を専門とした会社です。
 
今までのマーケティングとは、例えばグループインタビューや調査で生活者のニーズを聞いて、商品・サービスを作って、商品をコミュニケーションで市場に届けるという流れでした。
これからは「渦型マーケティング」といわれ、生活者も開発段階から携わり、プロモーションの中核も担うというものです。
今の生活者自身は発信力とそのスキルがあり、一方的なものへの拒絶反応もある。
そうした新しい生活者に合わせて、彼らにも参加してもらう新しいコミュニケーションのスタイルが注目されています。
その中に少しファシリテーションの技術を入れて、働くママたちのホンネ、やりたいことなど重要なことを引き出しているのです。

新しい需要の見つけ方

これまでのニーズの聞き方は、企業が「このサービス・商品の不満ってなんですか?変えていきたいこと、またどんなサービスが付加されたら良いですか?」と一方的に聞いてくるようなものでした。
すると生活者からは、例えば飲料水なら「パッケージの印象がもう少し明るい方がよい」「甘い方がよい」などの回答があります。

でも、予想範囲内の答えしか返ってきません。
生活者は〝自分で認識しているニーズ〟しか言葉にできません。今あるニーズとのギャップを追いかけては、新しい需要を見つけることは難しいのです。
 
そこで、もっと良い聴き方があるのではないかと考え、「共創マーケティング」の手法を活用するようになりました。
生活者共創による新しい需要創造は、〝生活者の声をストレートに反映させる〟のではなく、一人ひとりの声から、〝未来のニーズを読み解くこと〟なのです。
 
例えば「このサービス・商品の不満ってなんですか?」ではなく、「つまりそれってどういう気持ちで言っているのですか?」「何をもって今の言葉を発しているのですか」と、聞いていくのです。
 
その中心になるのはモデレーターではなく、ファシリテーターです。
ちなみにモデレーターとは決められたフローに従って聞きたいことを聞き出し、議論を遂行する役目の人です。
一方、ファシリテーターとは、テーマを投げかけ、参加者の相互作用を生みだし、議論を活性化させる人。
ママたちの声を聞いて、ファシリテーターが「じつはあなたたちって、これを求めていたんじゃないの」と問いかけると、「そうなのよ」と、一致団結する。
そうしたことを行って、未来のニーズを読み解いていくのです。

女性はイノベーター

働くママに限らず、女性は非常に感受性や好奇心が強いため、市場創造には欠かせない存在です。私たちは女性をイノベーターとして見ています。

実際、博報堂生活総合研究データによると、女性は男性よりも社会の課題に対して多くの関心を持っているということが分かります。

「あなたはどこに課題を感じますか」と質問し、「不安指数」という形で項目を挙げると、男性は「年金制度」「大地震・津波」「治安悪化」で、女性は同じレベルの不安指数を数える項目が「大地震・津波」「年金制度」「高齢者医療・介護」「大気汚染」「食品の安全」「治安悪化」「生活習慣病」「地球温暖化」「北朝鮮問題」「日中・日韓問題」。

男性は自分の身近なことを中心にあげています。
女性は自分のことだけでなく、旦那さんや子どものこと、はたまた、外交問題まで不安や不満、課題を感じています。
そうした問題を女性たちは井戸端会議で共有し、ストレスを発散させるのです。この井戸端会議は重要なファクター。いろんなことを吐き出してもらう。
統一性や軸はないのですが、ファシリテーターが軸を見つけ、掘り下げていくことができるのです。

そして、ママたちの課題意識をとらえながら、今まで解決が見いだせない「壁」を、ファシリテーションに
よって未来を向いた「糧ことば」へ転換していく。それを社会に還元していってもらうことを目指します。

【働くママの〝糧ことば〟集】

「壁」に直面した時のママの声

(1)復帰の壁」に直面したときの声
「公立保育園全部落ちました。何のために税金納めているの!社会が敵に見える」
「〝3歳児神話〟囚われすぎているかもですけど、不安です。やっぱり育休延長した方がいいですか?」

(2)「イヤイヤ期の壁」に直面したときの声
 「出来ていないのは私だけ?毎日辞めたいと思っていた」

(3)「小1の壁」に直面したときの声
「時短なのに17時から打ち合わせ。お給料も割に合わない。キャリア形成が思い描けない」

ママからママへと伝わる「糧ことば」

(1)「復帰の壁」への糧ことば
「(母より)子どもが可哀想なんて思っちゃいけない。悪いと思うな。その気持ちは、子どもに伝わるから、あなたがイキイキしていれば、子どもにもそれは伝わる。」

 (2)「イヤイヤ期の壁」への糧ことば
「(母として道を見通してみる)手が掛かるのは3歳まで。目が掛かるのは9歳まで。心が掛かるのは生きている間ずっと」
「とにかく、感謝!なかなか上手く職場復帰できないでまわりに迷惑掛けてるけど、感謝を忘れず助けてもらおう!」

 (3)「小1の壁」への糧ことば
「(私立男子校の教頭先生)男子の母は決して仕事を辞めてはいけません。母親が、自立していることが大事」
「(先輩ママからのスキル伝授)夏休みは5月から始めるプロジェクトマネジメント」

迷いが晴れた先に自分で切り開く活躍の場がある

管理職のママからの糧ことば 「最後は自分。自分が豊かになるために」

ランチケーションでのこれらの言葉や、Facebookへの投稿を読み解き、ママ達が求めるこれからの社会へのビジョンとして提唱しているのが、分業の社会から「共働共育する社会へ」です。
ともに働き、ともに育てる、を目指します。
家庭は女性で、仕事は男性ではなく、家庭でも社会でも一緒にやっていきたいと思います。
今後、私たちは「共働共育」を掲げながらムーブメントを起こしていきたいと考えています。 

講演者プロフィール

田中和子 様
株式会社博報堂
 リーママプロジェクトリーダー
 クリエイティブ戦略企画室 マネジメントプラニングディレクター
株式会社Voice Vision
 エグゼグティブコミュニケーションプロデューサー/マネジメントプランナー

1998年博報堂入社。営業職を務める。
育児・出産を経て、2012年、働く母のネットワーク「リーママ プロジェクト」を主催し、企業の「リーママ」達とランチタイムを利用した「ランチケーション(R)」活動を行う。
首相官邸「輝く女性応援会議」に出席し、働く女性たちが行政や企業に求める生の声を提言するなど、女性活躍推進支援における活動の場を広げている。2男1女の母。